原子力発電が今後日本社会で受け入れられるためには、高い安全性の確保とともに、通常の原子力発電により発生する放射性廃棄物の処理・処分方法に目処を付けることが一般社会の理解を得るための重要課題です。
本講習と実習では、放射性廃棄物の処理・処分分野における人材育成を行うことを目的として、一般の原子力発電所や東京電力福島第一原子力発電所で対応が必要となる放射性廃棄物の処理・処分に焦点を当てた講習と実習を行います。特に分析手法として、東北大学金属材料研究所(大洗)(写真1)に設置された最先端のICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)(写真2)を用いた分析技術を習得します。
写真1 ホットラボ施設(東北大学)
写真2 ICP-MS分析器
- 主催
- 東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センター
- 協力機関
- 九州大学、長岡技術科学大学、北海道大学、近畿大学、日本原子力研究開発機構、株式会社日立製作所
- 期間
- 平成30年1月22日(月) ~1月 26日(金)
- 場所
- 東北大学 金属材料研究所附属 量子エネルギー材料科学国際研究センター
茨城県東茨城郡大洗町成田町2145-2 - 申し込み方法
- 申込書の送付(ダウンロードしてください)
- 募集人数
- 20名
- 締め切り
- 平成29年12月8日(金)(志望理由、希望実習テーマ等などをもとに採否を判定します。また、定員を越えた場合は早く締め切る場合が有ります。)
- 参加費
- 無料
- 旅費
- 学生の参加者には、東北大学の規定に基づき旅費を支給します。社会人の参加者には原則としては旅費を支給しません。
- 備考
- 本講習と実習の学校は文部科学省の「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」の一環として実施されます。
お問い合わせ、申込書宛先
住所:〒311-1313茨城県東茨城郡大洗町成田町2145-2東北大学金属材料研究所
附属量子エネルギー材料科学国際研究センター 事務局
TEL:029-267-3181、FAX:029-267-4947
E-mail:oarai-ss@imr.tohoku.ac.jp
実習概要(暫定版)
1.講義
放射性廃棄物処理・処分に関する分離・分析技術および処分方法等について講義を行う。
2.基礎技能実習(コース選択)
下記から2つを選択できる。
・Aコース(溶液基礎操作):溶液基礎操作の慣れていない受講生に対しては、実験器具の取り扱いなど基礎事項の実習を行う。
・Bコース(放射線計測実習):放射性物質の分析に必要となる基礎事項について講義する。
・Cコース(模擬デブリ作成と顕微鏡観察):1Fからの廃棄物の理解を深めるため燃料模擬デブリの作成法を学ぶ。また燃料模擬デブリの顕微鏡観察を行う。
・Dコース(アクチノイドのプルベー図の作成と各酸化状態の調製と分光):計算ソフト(FactSage)を用いたプルベー図(電位-pH図)の作成方法の習得と各酸化状態の調製と分光実習を行う。
3.放射性廃棄物処理処分実習(コース選択)
下記から1つを選択できる。
・Eコース(分離・分析)
陰イオン交換反応による核種分離実験を行う。イオンクロマトグラフィー法を用いれば多くの金属イオンの相互分離が可能である。このクロマトグラフィー法により分離した核種の定性定量分析はICM-MS(ICP-QQQ分析計 (Agilent, 8900))を用いて行う。(写真2)また、放射線管理区域における基本的なマナーと非密封放射線源を取り扱う際に必要となる基本的な実験操作を本核種分離実験から学ぶ。(写真3)
・Fコース(処分実習)
処分の安全評価において重要なパラメータである吸着係数をネプツニウムとベントナイト鉱物を対象に取得し、吸着量と溶液のネプツニウム濃度との関係、溶液のpHや塩濃度に依存することを理解する。また、ICP-MSの使用実習も兼ねる。(写真4)
写真3 分離実習
写真4ICP-MS実習