(2017/04/01)
原子炉圧力容器(Reactor Pressure Vessel: RPV)鋼材中では、中性子照射によって様々な構造欠陥が生じる溶質原子クラスターおよびマトリックス欠陥が形成する。構造欠陥を精緻に解析するこれらを定量することは、照射によって引き起こされる経年劣化メカニズムを解明し、正確な脆化予測を達成する上で極めて重要である。鉄鋼材料中に不均一に分布する転位密度を定量評価するには、従来のWB-TEMよりも透過能に優れ、また、薄片化加工で生じた表面ダメージ、薄膜のたわみ、膜厚変化や粒界近傍での格子歪みに鈍感なイメージング法が必要であった。
そこで本研究では、STEM法の利点である高い透過能および分析装置との良相性を活用した新しいWB-STEM法を開発した。格子欠陥定量解析法を確立した。