多孔質シリカを含んだピリジン樹脂によるランタノイドとアクチノイドの分離
東京工業大学 藤井靖彦 他
□多孔性シリカ担持ピリジン樹脂を用い3価のランタノイドとアクチノイドの完全分離に室温の条件下で成功した。
□この実験ではJMTRで照射した 241Am を用いた。
外部機関によるアクチノイド研究施設を利用した研究
テクネチウムコロイドの発生と成長過程の研究
東北大学 関根勉 他
テクネチウム-99(半減期21万年)はウランなどの核分裂により多量に生成する長寿命放射性核種であり、核燃料再処理や核廃棄物の地層処分などに関連し重要な核種として位置づけられる。本研究においては、両者に共通する「強い放射線場」に着目し、放射線照射によるテクネチウムの溶液中の化学状態変化、特に微粒子の生成・成長の機構の解明をめざした。
最も安定な化学種である過テクネチウム酸イオンを 含む水溶液に、電子直線加速器で得られる制動放射線を照射すると、透明な水溶液が徐々に茶黒色に懸濁し、二酸化テクネチウム(IV)水和物コロイドが生成することがわかった。金研大洗施設の透過型電子顕微鏡によりコロイド粒子を観察したところ(右図)、その大きさは数十ナノメートルで、アモルファス構造であった。さらに、ひとつの粒子は小さなナノ粒子(~2nm)の集合体となっていることがわかった。これは、小粒子がその表面に酸化物を析出しながら成長するのではなく、生成したナノ粒子が集合して成長したこ とを意味している。
ネプツニウムとフミン酸の相互作用
東北大学 杤山修 他
放射性廃棄物の地層処分の安全評価においては、長半減期でアルファ放射性のネプツニウムの地下水中での挙動が問題となる。ネプツニウム(Np)は様々な原子価をとり、それぞれに化学的性質が異なるので、この原子価を制御し、確認する手法を確立した後、Np(V)について、特にその地下水中の移行挙動に重要な影響を与えるフミン酸との相互作用を調べた。
アクチノイドの原子価の調整と低濃度での原子価検定法の確立
:Radiochim. Acta, 91, 1-6 (2003).
桐島陽、杤山修、田中紘一、新堀雄一、三頭聰明
共沈、抽出剤含浸樹脂と小型遠心フィルター器を組み合わせて15分の操作でグローブボックス中で原子価を確認
フミン酸の錯生成配位子としての特徴
組成不均質性:異なる官能基が異なる環境に固定
高分子電解質性:多くの電荷が高分子に固定
フミン酸と金属イオンの相互作用機構の解明
Radiochim.Acta, 88, 547-552 (2000), 90, 569-574 (2002), 90, 555-561 (2002), 原子力バックエンド研究, 9, 21-28 (2002)
窪田卓見、桐島陽、ブディ・セティアワン、杤山修、田中紘一、新堀雄一、三頭聰明
フミン酸とネプツニウム(V)、ユウロピウム(III)(アメリシウム(III)の代替)および地下水中に共存するカルシ ウム(II)、鉄(II)(III)との相互作用係数のpH,イオン強度、金属濃度依存性を定量的に記述することに成功。依存性と組成不均質性、高分子電 解質性との関係を明らかにした。