トポロジカルスピン三重項超伝導体UTe2の磁場誘起超伝導

新奇伝導体UTe2は、強磁性超伝導体との関連が深く、35テスラまでの磁場再突入型超伝導や性質の異なった複数の超伝導が混在する多重超伝導相など、スピン・軌道の自由度を反映したスピン三重項超伝導の特徴が次々と発見されています。

青木大教授の研究グループは、金研大洗センター、金研強磁場センター、CEA-Grenoble(フランス原子力庁)とともにUTe2の高圧下の極低温実験を行い、無磁場では超伝導を示さないが磁場中で超伝導を示す磁場誘起超伝導を発見しました。UTe2に圧力を加えると、超伝導が破壊されて磁気秩序相が現れます。この磁気秩序相のもとで強磁場を加えると、磁気秩序相が閉じたスピン分局状態の強磁場下で超伝導が現れるのです(図参照)。スピン三重項超伝導体の新たな性質が、極限環境下の実験と国際共同研究により明らかになりました。

UTe2は、バルクで現れるトポロジカル超伝導としても認識されつつあり、量子コンピューターの量子ビット(Qubit)への応用なども模索されるなど、今後の研究の発展が期待されています。

本研究の成果は以下に発表されました。

https://doi.org/10.7566/JPSJ.90.074705


UTe2の電気抵抗の磁場依存性(a)と磁場-温度相図(b)10T以上の高磁場で磁場誘起超伝導が現れる。

実験設備 研究課題申請大洗における宿泊施設
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